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日直地獄

小学校では事件が起きる

緩衝地帯

会社帰りにぶらりととんかつ屋に入った。
奥の席には島崎和歌子似の女性、手前の席には中年の男性。僕はカウンターか間の席に座るか少し迷って間の席に座った。店の奥には小さなブラウン管テレビが設置されておりWBCの中継が流れていた。奥の女性は山盛りのとんかつを食らっており、ますますもって島崎和歌子だった。僕はロースカツ定食(750円)を注文した。僕はWBCを見るふりをしながら島崎和歌子をちらちら見た。
しばらく後に手前の男性に濃厚で粘度MAXなソースがかかったカツが運ばれた。実に美味そうだった。
僕はぼんやりとWBC(と島崎和歌子)を眺めながら自分のロースカツ定食が来るのを待っていた。
するとどうしたことか、島崎和歌子がこちらをチラ見してくるではないか。しかも眉間に皺がよっていた(このとき僕は島崎和歌子はこの顔でそんしてるよなーとは微塵も思わなかった)。異変の正体はすぐに分かった。隣のおっさんの「クチャ」音が精彩な音色で響き始めたのだった。今食べているのが、米なのか肉なのかキャベツの千切りなのか汁なのか衣なのか聞けば一度で分かるレベルで、そして不快な音色で!
僕はおっさんをチラ見し、ええ、ええ僕も気になってますよ的な雰囲気をだし、和歌子の怒りを沈める一方、おっさんに対してはWBCを眺める好青年を演出。後から入ってきたおしゃれ青年はタバコを吸って無関係を演出している。手前にも聞こえてるだろー!
テレビでは東京ドームを一周するウェーブが始まっていた。店の夫婦はイチローの調子が気にかかっているようだった。


濃い目の味噌汁を一気に飲み干し僕は店を出た。今日はとても暖かい日だった。
とんかつはおいしかった。