- 作者: 水木しげる
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1997/07/10
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 29回
- この商品を含むブログ (50件) を見る
今ノンノを読んでいる世代がばあちゃんになったらどうなるのか・・・。と、くだらない駄洒落を考える前にまともなレビューを書けよと叱られたい。昔NHKのドラマで見てたのをふと思い出したので買いました。
古い日本と妖怪。昔の人は教育に妖怪を利用したり、人知の及ばないことを妖怪に当てはめて安心してたんだなあと再認識。それは素敵な想像力だと思う。幽霊と妖怪の違いはなんというか想像力の温かさと言うかなんというか。幽霊って死んだ人がそのまま出てくるけど、妖怪はどんな形で出て来ても良いってとこが違うのかなと思った。だから小豆洗いとかも発生できるのです。日本人の擬人化能力の高さはこんなところから来ていたのかも知れない。(海外のお化けは知りませんが、どっちかと言うと幽霊タイプなイメージ)あ、嘘、ちゃんと妖怪はいます。
少年と恋。茂少年は三人の女の子と出会うわけだけど、二人は死に一人は売られていく。茂少年はしっかり落ち込むが前を向いて歩いていく。特に極楽浄土での千草さんとのランデブーは印象的である。そこには現代人のうんざりするような弱さは無い。だから読んでいて爽快なのかもしれない。それにしても千草さんはいい娘ッ子である。
少年を取り巻く世界は、少年同士の抗争や家族の問題、妖怪などいろいろな世界が重層的に絡み合っていて、それらが一つのリアリティを持っている。例えば、敵のガキ大将チームをとっちめて、茂の父親の盗まれた映写機をそいつらに探させるシーン。妙に印象に残った。
多くは語りませんが親父さんのアドバイスが胸にしみる僕22歳。茂さん12歳くらい。これはヤバイ!