日直地獄

小学校では事件が起きる

若返りの秘密 〜 髪を切ればいいじゃない

かれこれ4ヶ月になるだろうか。まだ大丈夫だろう大丈夫だろうそろそろ汚いな汚いなと認識しながらも生来の物臭精神を遺憾なく発揮し生活してきた私も毛の重さで悲鳴をあげる毛穴に譲歩し髪を切ることに決めた。



大体散髪が嫌いなのであるが、なぜ嫌いかと問われれば、理由は今日はどのような感じになさりたいですかと聞かれることに集約している。こんな髪型にしたいといったところで、僕の頭の形、髪質、毛穴の向き、それよりなにより自分の顔を考慮すれば、その髪型が再現できるはずもないとわかっているので、私はこのままXcm切って下さい見たいな事を言しかないのである。というより、したい髪型なんかねーのである。(余談。この間、あなたきっと七三分けにすれば東南アジア系になれるわよ、と女の子に言われたのでやってみたら本当にそれっぽかった。自分の才能と彼女の洞察にびっくりした。)



ややあってとてもチャーミングな女性が僕の髪を切り始めた。
「髪長いですねー」
「ちょっと長すぎますよねー」
「うん」とても率直な女性のようだ。いささか率直過ぎるような気がしないでもないが。
ぼんやり鏡をみていた私と彼女の視線が鏡上でぶつかり、私が目をそらすこと数回、そこには幾分若返った私の元気な姿が!



髪を切るとよく母親や兄貴にも言われたものである。「おー若返ったな」と。
今回2cm切って大体半年若返ったような感じだ。では1cm切れば3ヶ月若返るのだろうか。多分1mmきったところで若返らないだろう。5mmでは変わるだろうか。スキンヘッドにしたところで5年も若返るわけない。だから髪を切る量と若返る量は比例するという説は間違い。むしろスキンヘッド、もとい、たこ入道スタイルにすれば歳が増えるだろう。ということはどこかに境界線があるのかもしれない。頭髪上における年齢+-境界線が。


ここまで書いてハタと気づいたが、4ヶ月伸ばして、それを切って半年若返っていては、どうにも計算が合わない。この計算では私の見た目は胎児ですらないかもしれないことになる。なんだやっぱりみんな適当に言っていたのか、もう、びっくりするよ。俺は老けてなどいないのだ。


とここまで書いてまたハタと気づいた。私の見た目の老け方が常人のスピードを超えていたとするなら、人の四ヶ月が私にとっての十ヶ月だとするならつじつまが合う。これでピタリだ。やったぜ。