1.事故概要
- 平成21年7月頃から、えあり邸の便所において、貯水タンクと便座をつなぐ配管から水が漏れる事故が発生していた。
- 平成21年9月頃、上記異常は沈静化していたものの、便座に想定外の負荷がかかり、配管が完全に断裂する。大量の水漏れが発生し、直ちに手動接続した。
- 平成21年10月頃、友人が家に来て用を足して水を流したところ、大量の水漏れが発生。直ちに、手動接続した。
- なお、上記(1)(2)(3)の事故に対する国際的評価尺度は次のとおりであり、友人の靴下以外への影響はなかった。
- 上水系便座洗浄配管漏水…レベル0
- 上水系便座洗浄配管破断…レベル1
- <参考>
- 便所施設事故に対する国際的評価尺度はレベル0〜レベル7まであり、ちなみに
- 汲み取り式便所落下事故・・・レベル7
- 腐敗ガス発火事故 ・・・レベル5
- 汚水流出事故 ・・・レベル4 等である。
2.事故の受け止め方
- 洗浄配管破断について
- 上記配管の破断は、上水が漏水するという被害を引き起こすのみであり、今回の破断が、すぐさま重大な事態につながるものではないとはいえ、安全系に連なる事故として重大に受けとめる。
- 便座固定機構の劣化について
- 調査を行った結果、洗浄管破断は単独で引き起こされた事故ではなく、複数の部品の劣化から引き起こされたものであると判明した。便から発生するガスにより便座と下水をつなぐフランジパッキンが劣化し、さらにそこから漏れたガスによりフランジを固定する金属が腐食した。便座の固定が外れたことで、着座時に想定外の負荷がかかった場合に、その負荷が配管にかかるようになった。また、その負荷が洗浄管の破断に繋がった。このような連鎖的な事故は、わが国では初めてのことであり、重大な関心を持つ。
- 大家への報告体制について
- 事故そのものは安全系に直接影響を与えるものではなかったとはいえ、同便所においては本年7月の事故に続くものであり、また、事前説明が不十分なままの用便直後に起こったものであるだけに、えあり邸に対する信頼性という点において、地元や友人関係に与えた影響は大きいと受けとめる。
3.報告
平成21年11月10日えあり脳内会議において、現地調査の実施を決定し、同日直ちに、大家に電話をかけ、次の日、大家から派遣されたメンバー1名が、えあり邸におもむき、AirReaderから事故概要の説明を受け、上水系便座洗浄配管破断及び水漏れ現場の確認を行った。なお、現地視察終了後、応急処置を施し、記者会見を行い、現段階におけるものとして、次の視察団としての見解を明らかにした。
イ)今回の事故は、外部環境に影響はなかったとはいえ、重大な事象として受けとめ、AirReaderは事故原因の徹底解明と再発防止に万全を期すこと。
ロ)事故情報の公開に万全を期すとともに、地域住民、友人関係に対し、可及的速やかに丁寧な説明を行うこと。
4.事故対策委員会の見解
- 再発防止対策について
- AirReaderは、他の便器事業者やメーカー等関係者に対し、今回の事故の原因調査、検討を通じて得た知見、対策等についてその共有化を図り、同種事故の再発防止に万全を期すべきである。はてな社としても、再発防止対策が確実に行われることを注視し続けなければならない。
- 情報公開について
- 今回の事故の原因や対策等について、AirReaderは、関係自治体、友人等に対し可及的速やかに丁寧な説明を行うとともに、今次の教訓を踏まえ、事故時の即応を始め、水回り全般にわたる情報公開、広報活動の一層の充実に努めるべきである。特に今回、友人の用便に際しての事前説明が不十分であった。用便は、水漏れや便器の安心や信頼関係なくして進めることはできないことを改めて認識し、事故時の用便にあたっては、事前に十分な説明を行うべきである。
- 経年劣化対策および地震対策について
- 住宅自体の経年劣化や昨年末中央防災会議から出された東海地震想定震源域の見直し報告に伴う耐震性への不安を指摘する意見がある。これらの指摘に対して、政府の早急な対応を求めるとともに、えあり邸においても、特に便所の経年劣化対策のあり方について、ワーキングチームを新たに設置するなど議論をする必要がある。
- 水漏れ対策の強化について
- 今回の事故を機に、AirReaderは水回りの安全確保対策に一層の努力を傾注すべきである。また、水回り行政組織法8条に基づく水回り安全委員会には実効性が欠落していること等に鑑み、水回り行政組織法3条に基づく独立行政機関である水回り安全規制委員会の創設による水回り安全チェック機能の充実・強化を、引き続き強く求めていく。
以上