日直地獄

小学校では事件が起きる

台風について

何かといえばいつも言っているような気がしないでもないが、台風はセンチメンタルな気持ちが入り込むことが無いから好きだ。有無を言わさぬ暴風とそれによる振動、大雨による濁流、全ての人間から感傷をひっぺがし人間そのものにさせる効果。大慌てする人間も狂喜乱舞する人間も自然も世の中もなめきって死んじゃった人間も同じラインに立つ。なんてダイナミック。

「地震や津波は人間に対する「自然の復讐」である。人々は火山の火口のまわりで死のダンスを踊りながら、太陽がまた明日も昇ると信じて、楽しい人生だなどと言っている。紳士淑女、大学教授、政治家などは、進歩や文明開化の名において、虚偽に虚偽を重ね、自然を破壊し、自然に背いている。自然は真空を嫌う。愛か憎悪か!自然は代償を好む。眼には眼を!自然は戦を好む。死か独立か!自然は復讐を奨励する。復讐は甘美である。「自然に背く害虫」である人間を殺すのは、自分達の女神である「自然の法」だ。彼等は進歩の名において、彼等よりもよきものを、彼等の堕落した水準にまで引きおろそうとしている。彼等のこの傲慢や術策の価値を彼等に知らせねばならぬ」(夏目漱石